翻訳の練習問題5(解答)

ちょっと難しいかもなんて脅したから、この英文が難しく感じたかもしれませんが、冷静に読めば、それほど難しい英文ではありません。

 

Simply forgetting to share a document with someone in your team can lead to a series of events that could potentially slow down your project or schedule.

 

ポイントは、関係代名詞「that」前後の情報の流れを変えないことです。

 

無生物主語をどうやって処理して、自然な日本語にするかもポイントですね。

 

あと、細かいことですが、「Simply」と「a series of」をかっこいい日本語にするのも、ポイントといえばポイントかな。

 

私は次のように訳しました。


ドキュメントをチームメンバーと共有することを忘れてしまうだけで、次々と事件が発生し、プロジェクトやスケジュールが遅れる可能性があります。

 

「Simply」は「だけで」、「a series of」は「次々と」というように訳出しました。なかなかカッコいい訳出ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

この英文には、「can」と「could」という助動詞が使われていますから、かすかな仮定法のニュアンスがあります。そこを利用して無生物主語を処理しました。無生物主語全体を条件節として訳したのです。

 

最も重要なポイントの関係代名詞ですが、説明が難しいんですよね。関係代名詞の前後にある情報の流れを変えずに訳せるときと、それを変えないと訳せないときがあるんです。今回は、情報の流れを変えずに訳せる関係代名詞でした。

 

どの関係代名詞が情報の流れを変えずに訳せるのかは、経験を積むと簡単に見極められるようになるのですが、経験によって体得したものって、説明が難しいんですよ。

 

学校英文法では、この関係代名詞の先行詞は「a series of events」ですよね。でもね、この「event」が発生する理由は、この無生物主語に書かれているんです。ということは、先行詞は文頭から関係代名詞の前まで全部とみることもできませんか? 関係代名詞より前の部分全体が先行詞であるとみなせる場合は、情報の流れを変えずに訳すことができます。

 

分かりますか? 情報の流れを変えないと訳せない関係代名詞と比較すると分かりやすいかもしれませんね。