『ああ言えばこう行く』は、ちょっと行きすぎではないか

『ああ言えばこう食う』に続く往復エッセイです。そこまで言って大丈夫なのか。辛辣すぎるのではないか。なんて、おせっかいな要らぬ心配をしてしまうというか、ちょっと行きすぎているのではないかと疑ってしまいます。読者を楽しませるために、わざと突拍子もない掛け合いをして、お互いに心の中で辛抱を重ねているのではないかな。そのうちに堪忍袋の緒が切れるではないかな。いくら読者を楽しませるためでも、そこまでしなくても良いのではないかな。読後の正直な感想はそんなところです。

でも、アマゾンのレビューによると、女性からは支持されているようです。いや、僕も支持していないわけではないですよ。とても楽しませていただきましたし、お奨めのエッセイであることに違いはありません。まあ、僕のありがた迷惑な心配は、僕が男だから抱くのかもしれない、と、アマゾンのレビューを読むと、そう思います。老弱男女、たくさんの人の意見を聞いてみたいですね。

阿川佐和子さんは、爆笑してもらうことを信条としてしているところがあって、他のエッセイを読んでも、ガハハと思わず笑いたくなってしまいます。この2冊の往復エッセイよりもトーンは下がりますが、どのエッセイも同じように笑えます。

檀ふみさんは、『父の縁側、私の書斎』のように、しっとりとした、落ち着いたエッセイを書きながら、このような爆笑エッセイも書く、不思議な人ですよね。いろいろな文章を書けることが檀ふみさんという人間の深みというか、魅力なのかもしれませんが、『父の縁側...』のときと爆笑エッセイのときは、別人格なのではないかと思ってしまいます。

お二人とも魅力的であることは確かです。悪口を言い合っているようでいて、相手に対する思いやりが感じられて、お二人とも芯は優しい人のようですし、教養も品の良さも随所にみられます。何でも言い合える友人を持ったお二人がうらやましいですね。