翻訳の練習問題11(解答)

今回のポイントは、情報の流れを崩さないことでも、英単語の重要度を考慮することでもありません。抽象名詞と無生物主語の処理方法がポイントです。

 

Edward's candour seemed to Bateman very surprising, but he thought it indiscreet to pursue the subject.

 

この「Edward's candour」を辞書のとおりに「エドワードの率直さ」としたのでは、不自然な日本語になってしまいます。

 

エドワードの率直さはベイトマンをひどく驚かせたようだ……

 

英語の無生物主語を日本語でもそのまま無生物主語にしていることが、不自然な日本語に拍車をかけています。こんな場合は、抽象名詞を文に読みほどき、生物を主語にして訳します。この英文に出現する生物はエドワードとベイトマンですが、ベイトマンを主語にすると良いでしょう。行方昭夫先生の訳は次のようになっています。

 

首になったことをエドワードが平気で口にするのでベイトマンはひどく驚いたが、その話をあれこれ尋ねるのはまずいと思った。

 

さすが、いい訳ですよね。