井上尚弥の強さの秘密

井上尚弥の強さの秘密は何だろうか。ここ数日、そんなことばかりを考えていましたが、やっと答えがまとまりました。井上尚弥が強いのは、頭がいいからです。代数幾何微分積分の難問が解けるというような頭のよさではなく、どのような状況でも冷静に状況を判断できる頭脳があるから井上尚弥は強いのです。井上尚弥にはディフェンスのセンスもパンチ力もありますが、冷静に状況判断できる頭があるからこそ、ディフェンスのセンスもパンチ力も生きてくるのです。あくまで素人の考えですけどね。

 

5月18日に行われたWBSSの準決勝は、事実上の決勝戦と言われていました。井上尚弥も強ければ、エマヌエル・ロドリゲスも強いのです。たしかにエマヌエル・ロドリゲスは強いボクサーです。19戦無敗12KOですから。2018年2月にライアン・バーネットがIBF世界王座を返上したとき、エマヌエル・ロドリゲスから逃げたと言わしめたほどの逸材です。その空位になったIBFバンタム級世界王座をエマヌエル・ロドリゲスが獲得したのは2018年5月5日のことでした。まさに波に乗っていて脂も乗った昇り龍です。

 

井上尚弥も怖かったに違いありません。こんなことを言うと、井上尚弥ほど強いボクサーが怖がるわけねえだろ、と怒る人がいるかも知れませんが、私は自信を持って断言できます。井上尚弥も怖かったはずです。というのは、かの具志堅用高でさえも、試合前の控室に関係者がいなかったら、怖くて間違いなく逃げ帰ってたと言うくらいですから、誰だって怖いんです。

 

慣れない海外での試合という緊張感があって、しかも相手は強いし体格も勝っているとなれば、普通の人であれば足がすくむでしょう。しかも、第1ラウンドが始まって、思ったよりも相手がプレッシャーをかけてきたら、頭の中が真っ白になって何も考えられなくなり、それまでに練っていた作戦もどこかに吹っ飛んでしまってもおかしくありません。

 

しかし井上尚弥は冷静でした。第1ラウンドが終わったとき、自分のパンチが思ったより届かなくてやばいなと思ったけど、ショートだったら当てて倒せるというように、きちんと状況を見て対策を立てていたそうです。

 

第2ラウンド、エマヌエル・ロドリゲスが不用意に井上尚弥に近づいたと見る人もいるようですが、私には、エマヌエル・ロドリゲスの動きが変わったようには見えませんでした。井上尚弥が持ち前のディフェンスのセンスで相手のパンチをうまく避けて接近戦に持ち込み、左フックでダウンを奪ったと見るのが順当ではないかと思います。あくまで素人見解ですけど。

 

ダウンを奪っても有頂天にならず、井上尚弥は計算していました。相手の意識は上にあるから、ボディを攻撃すべきと考えて、その考えどおりに2回目、3回目のダウンを奪って大勝しました。

 

いくらスピードがあっても、ただ動き回るだけでは勝てません。いくらパンチ力があっても、当たらなければ意味がありません。いくらディフェンスのセンスがあっても、相手のパンチを避けてばかりいたら判定負けです。きちんと状況を判断して対策を練る頭脳があるからこそ、井上尚弥は強いのです。

 

次はドネアと戦うことが決まっているから問題ないけど、ドネアにも大勝したら、バンタム級で勝負してくれる相手はいないだろうな。