『やっぱり、ひとりが楽でいい』岸本葉子

岸本葉子さんのエッセイからは、何となく淋しさを感じてしまいます。これまでに読んだ岸本葉子さんの本が、癌を患った後のものばかりだったからでしょうか。癌になる前の作品は面白おかしいかもしれないと思って、この本を選んでみました。

なぜ淋しさを感じてしまうのか分かりました。岸本葉子さんは孤独を愛する人だったんですね。人と関わることを極端に嫌い、独りでいることを存分に楽しむ人だったんですね。

僕も、カッコよく言えば、孤独を愛する人間です。でも実際は、僕が変わり者だから人が寄ってこなくて独りぼっちでいるだけなんですけどね。本当は人と関わり合いたいから、人と会うときははしゃいでしまって、その結果、周りから変人と思われてますます孤独になっていってしまうんです。人から変人扱いされないためにはどうしたらいいんだろう、なんて悩んだりして、人と関わるたびにそんなに悩むんだったら、人付き合いなんかやめた方がいいのかもなんて考えてしまって、自分から孤独になったりするんです。

だから、淋しそうにしている人というのは、本当は人との交流を待ち望んでいるものだと思っていました。けど、そうではなくて、本当に心の底から独りでいることを楽しむ人がいるんですね。驚きました。岸本葉子さんが3日も家にこもって平気でいるなんて。

かと言って、岸本葉子さんを変人扱いしようなんて思いません。むしろ尊敬します。しっかりした考えを持って、人に媚びずに生きてゆく姿はかっこいいではないですか。見習わないといけないな。